お題:ちょっとエッチな夏の思い出を教えて!に回答♪
from: じゃがありごさん
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思い出らしく、小説っぽく書きました。
どうぞ。
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うだるような暑さが上からも下からも注がれる。目の前に広がるコンクリートは熱されてまるで濡れているかのようにてらてらと光って見えた。一歩踏み出すごとにつう、と太ももを伝う一筋の汗が肌を擽る。気持ち悪い、顎の下を手の甲で拭うと、ぬちゃりと汗で滑る。
ふと周囲の音に気を配るとつんざくようなクマゼミの泣き声。当たり前に鳴り響くそれは空の背景に溶け込んで、意識を逸らせば無音にすら感じる。
夏なんて嫌いだ。ぺたぺたと汗で貼りつく下着が不快だし、サンダルを履けば足の裏にまで汗がにじんで滑ってしまう。母に注意されて塗るようにしている日焼け止めのせいで、なんとなく油膜で皮膚が包まれている感覚があるし、こんな努力をしたところで一日遊び転げて家に帰れば皮膚はひりひりとしみるのだ。せっかく白いのに、という母のセリフは今夏で100回は聞いたと思う。
小学生の時から仲のいいAちゃんは聡明で美しい少女だった。
背が高く、すらりとした手足、ショートカットヘアがよく似合う女の子。顔がとても小さいのにその頭の中は情報が膨大で、いつだって成績優秀、今年の学区内で行われた高校受験模擬試験だって十本の指に入る。誰にだって優しくて、中学の授業にすっかり置いていかれてしまった落ちこぼれの私にまで親しくしてくれる。春川さんの絵が好き、と言ってくれたのも彼女だ。
「暑すぎん?どっか入る?」
「ちょっとドラスト行きたいなあ」
「何買うん?」
「タンポン」
ドキッとした。
性とはかけ離れたような清廉な彼女の口からさらりと出て来た単語。
タンポンって、あれよな。ナプキンのもっとすごいやつ。
私の出てくる知識はこれが限界だった。だって使ったこともないもの。確か、アソコに入れるやつだって、修学旅行の時に配られた生理の解説ガイドブックで見た。
「Aちゃん、タンポン使ってん?」
「うん使ってる。めっちゃ便利やで。水泳も休まんで済むし」
驚いた。それはタンポンの使用云々ではなく、そこまでして水泳の授業を受けている彼女の真面目さに。
元々生理が重く、生理痛も母譲りで酷かった私は生理の日はそもそも動けないことが多いし、始まればここぞとばかりに見学を申し出るのに。
(そういえばAちゃんが休んでるとこ見たことない)
大体、みんなはローテーションで見学に回るのに。
「タ、タンポンってさ、怖くないん?」
興味が沸いた私は、恐る恐る未知のアイテムについて詳細を問うた。
Aちゃんは整った顔を綻ばせた。暑さで火照った頬に艶が差す。つう、と一筋の汗が彼女のフェイスラインをなぞって落ちる。
「え~簡単やで?春川さん使ったことないの?コツ覚えたらするって入る」
「へ、へえ……でもあれ、あれやろ?あの、い、いれるんやろ?」
「そうそう、これくらいの大きさでな、糸がこう出てて……」
Aちゃんの説明は明瞭で分かりやすかった。いつだってそうだ。勉強だって、誰にでも、馬鹿にでも分かるように説明してくれる。
私の中で作り上げられる未知の生理用品が、形作られていく。
どうすれば入りやすいか、少し濡らすといい、足は広げて息を吐いて………
(Aちゃんってトイレでそんなことをちゃんとしてるんや)
ドキドキと心臓が高鳴っていく。だって今彼女は自分がトイレの個室でなにをしているのかを詳細に教えてくれている……
高鳴る心臓の音から意識を逸らそうと、周囲の音に意識を配る。蝉の音がする。ああうるさい。そう、これでいい。
Aちゃんにだって生理があるんだ。いつも頭がよくて、学年トップで、運動神経も抜群で、字も綺麗で、しっかりしてて、美人なAちゃんだって――
「せや、今から買うし……入れるの手伝って教えようか?」
蝉の音がまた、聞こえなくなった。
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